買い物でも、食事をしに行く時でも、「めっけもん」ほどうれしいことはない。 予想外にいいものを見つけたり、おいしいものに巡り会ったり。そういう時は、私ってなんてラッキーなのだろうと、幸福感でいっぱいになる。 音楽会やオペラでも、「めっけもん」をした時は、本当に楽しい。お目当ての”本命”音楽家が素晴らしいパフォーマンスをしてくれれば、もちろん幸せ。それに加えて、特別の期待をしていなかったり、これまで知らなかった人のいい演奏を聞いたりすると、新たに素晴らしい才能を発見したようで、気持ちが高ぶる。この人の歌や演奏をもっと聴いてみたいな、と思う。 それで、休憩時間にCDを探す。演奏会場では、よく出演者のCDを売っているのだ。けれど、特に「めっけもん」さんの場合、若かったり、十分に世に知られていない音楽家が多く、ほとんどがCDを出していない。実績のある”本命”さんのものさえ見つけられず、残念な思いをすることがしばしばだ。 そんな私を救うために(?)、ディスククラシカというレーベルができた。そこでは、”本命”さんはもちろん、力のある「めっけもん」さんのCDも積極的に出していこうじゃないかという話になっているらしい。 なんてうれしいニュースなのだろう。いったいどういう作品が生まれてくるのかと、今からワクワクしている。 |
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私は、三十年間銅版画を制作してきましたが、作品はアトリエの中だけで完成するものではないと思っています。なぜならば、作品は鑑賞してもらってはじめて存在するからです。そのためには発表ということが大切になってきます。創るということは、時代に合った形式での発表の場を探すことでもあるのです。 今回、新しく生まれるレーベル「ディスク クラシカ」のコンセプトは、様々な才能を完成させるための発表の場を共に作ってゆくということの重要さに気付かせてくれます。私はこの勇気ある提案を応援します。CDを通して、多くの若い才能がデビューし、多くの聴きてと出会えることを期待したいと思います。そして私自身も、キラリと光る才能に出会えることを願っています。このプロジェクトがクラシックな考え方を持ちながらも、現代にしか出来ない手法で存続されることを祈っています。 |
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素晴らしい音楽に接した時の感動は、どんな時代にも変わらず存在している。しかし、21世紀の今では、それはコンサートホールでの体験に限るものではなくなりつつある。様々なメディアが存在し、その気になれば24時間音楽に浸っていることも出来る。インターネット・ラジオでベートーヴェンを聞き、そのCDをすぐにサイトで購入するということも可能なのだ。 こんな時代だからこそ、従来の発想に囚われない音楽発信の形が求められるのだろう。有名演奏家の中にも、大きなレコード会社の動きの遅さに反発して、自分自身のレーベルを立ち上げる人もいるし、オーケストラが自前のレーベルを持つ動きも盛んだ。また、いわゆる有名曲ばかりのカタログに飽き足らず、知られざる作曲家の作品を紹介することに積極的な人もいる。また、新しい才能が発掘されても、従来では紹介のタイミングがかなり遅かった。そのテンポを早める動きも必要になるはずだ。 「DISC CLASSICA」の設立は、いわばこうした時代の要求に応えたものだろう。より多くの新しい才能、眠っている才能を発見し、いち早くそれを聞き手の元に届ける。そのすべてをプロフェッショナルな経験を豊富に持ったスタッフが手助けするのである。このプロジェクトの中から、これまで私たちが知らなかった新しい才能が現れてくることになるだろう。また、作品と演奏家との意外な出会い、というような期待も出来そうだ。クラシック音楽をより身近な視点から考え直す良い機会になるかもしれない。まずは、そのスタートを期待して見守りたい。 |
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